日本で美容皮膚科・美容外科を受診したことはありますか?
やっぱり一番気になるのは「値段」ですよね。興味はあっても、ちょっと敷居が高そうなイメージがあるかもしれません。健康保険ではカバーされない領域ですから、実際どうしても治療費が高額になってしまいます。やはり消費者心理で少しでも安く治療を受けたいとの思いから、日本からわざわざ韓国やタイに行って美容治療を受ける人も少なくありません。
ここカンボジアの首都プノンペンでも多くの美容クリニックが乱立しています。地元のカンボジア人しか行かないような庶民的なクリニックから大規模な外資系クリニックまでピンキリです。当クリニックは小規模ですが、カンボジアでは珍しい日系の美容皮膚科クリニックです。
① 海外の日系クリニックは高い?
② 誤解を招く価格を提示してないか?
③ ちゃんと料金表を掲載しているか?
④ 結局、カンボジアの治療費用は安いのか?
① 海外の日系クリニックは高い?
当クリニックは2020年2月にオープンしましたが、当初は「日本人医師が診察・治療をするクリニックだから、どうせ値段は高いだろう」と思われていたようです。しかし、実際に受診していただいた患者さまから、「他の美容クリニックと比べて、意外と治療費は高くないんですね」との感想をいただきます。確かに、日本でも海外でも美容クリニックを開業するのは何かとコストがかかり、治療価格に跳ね返ります。私がカンボジアで美容クリニックを開業した動機として、なるべく良心的な価格で、安心・安全な美容医療を提供したいとの思いがありました。おそらく日本の美容クリニックの価格相場より30~50%は安くなっているかと思います。また別の機会に書きたいと思いますが、私は2016年よりカンボジアに移住して、現地の病院やクリニックで勤務してきましたが、いろいろな美容治療後のトラブル症例を診てきました。やはりきちんと臨床経験を積んだ専門医が安全な医療を提供しなければならないと感じました。
② 誤解を招く価格を提示してないか?
例えば、プロモーション広告で、「プラセンタ注射50%オフ」「脂肪溶解注射1本3000円」などの広告が出ていたとします。お得だと思って受診しても、会計の段階になって納得できないこともあるかもしれません。もしプラセンタ注射のディスカウント前の価格が法外に設定されていれば、50%オフになろうが安いとは感じません。また、1本の脂肪溶解注射が3000円だとしても、診察の段階で「あなたは脂肪が多いので10本は必要です」と言われれば、想像よりかなり高くつきます。おそらくその患者さまはもう二度とそのクリニックには来院されないでしょう。いくらインパクトがあっても、おとり広告に患者さまは良い印象を抱きません。
③ ちゃんと料金表を掲載しているか?
一般に、カンボジアの美容クリニックでは、料金表を出していないことが多いです。普通ならクリニックのウェブサイトや受付に料金表を分かりやすく提示するべきだと思うのですが。
日本の美容クリニックでは、患者トラブル・クレームとして最も多いのが支払いに関するものだと聞きます。海外の美容クリニックでも同じではないでしょうか。カンボジアの美容クリニックの場合、料金交渉で値引きされるケースも多いようですが、事情をよく知らない外国人の患者さまには不信感・不公平感を生むだけかもしれません。
治療を受ける前には、必ずトータル費用の確認をされた方がいいかと思います。提示された治療費の他に、診察料・〇〇サービス料・〇〇チャージ・税金(10% VAT)など、いろいろと加算される恐れもあるのでご注意ください。ちなみに、当クリニックの場合、ウェブサイトと院内の治療メニュー表に税込み価格を掲載しており、後から余分なコストを患者さまに負担させないようにしています。
④ 結局、カンボジアの治療費用は安いのか?
海外での美容医療では、いろいろな要因が治療価格に影響を及ぼします。
「カンボジアなんだから、価格が安くて当たり前」と思うかもしれません。確かにカンボジアの場合、テナント料や人件費の安さは価格の押し下げ要因となりますが、診療クオリティーを納得できるレベルにまで引き上げるには、それなりのコストがかかります。
カンボジアは物流コストや輸入関税が高く、高品質な医薬品や医療材料の購入は価格の押し上げ要因となっています。また、カンボジアは周辺国より電気代が高く、電気供給量も一定しないため、医療機器の維持・管理にも配慮が必要となります。
カンボジアに住んでいると分かるのですが、日本と同じ快適さを生活に求めると、生活費はそんなに安く済みません。
以上より、日本とカンボジアの物価の違いを単純比較して、さすがに日本の1/4や1/5の治療価格にはなり得ません。安心安全なクオリティーを確保するためには、物価の安いカンボジアでも格安治療の提供は難しいように思われます。