日々のスキンケアで困ったことはありませんか?
その日の体調や季節などによって、肌の調子は変わるもの。ニキビができたり、皮脂が多くなったり、赤みが出たりすることもあるかもしれません。そんな肌トラブルの対策として、毎日のスキンケアにちょっとだけ足してみるのをオススメします。それが「アゼライン酸」クリームです。
アゼライン酸は小麦やライ麦などの穀類や酵母に含まれている天然物由来の酸で、安全性が高い成分です。ニキビ治療薬として、ヨーロッパ・アメリカ・アジアなど世界の80カ国で承認されており、30年以上も使用されています。また酒さ(持続する赤ら顔)の治療にも適応があるります。日本では医薬品としての承認がないので、知らない人も多いかと思います。
アゼライン酸クリームの効果は?
主に下記の5つの効果が挙げられます。
① 毛穴の詰まりを改善する(角栓除去)
② 過剰な皮脂分泌を抑える
③ アクネ菌に対する抗菌作用
④ 美白作用(メラニン生成抑制)
⑤ 抗炎症・抗酸化作用
このような働きにより、ニキビの発生を抑え、悪化を予防します。しつこいニキビの赤みやニキビ後の色素沈着でお悩みの方にも効果が期待できます。日本ではニキビ治療薬として、ディフェリンゲル(アダパレン)やベピオゲル(過酸化ベンゾイル)が第一選択薬とされていますが、それらの薬剤が肌に合わない場合に使用が検討されることもあります。
また、マイルドな皮膚剥離作用(ピーリング効果)があるため、肌のキメ・質感や色ムラの改善にも効果があります。
副作用はある?
アゼライン酸は多彩な効果を持ちながら、ほとんど副作用がないため、長期間使用することができます。ただ、天然物由来の酸ということもあり、外用した部位に「熱感」「かゆみ」などの刺激症状を生じることがあります。通常30~60分程度で消失しますが、チリチリと刺激が続く場合には、使用回数や使用量を減らすことをオススメします。
また、アゼライン酸はトレチノイン(ビタミンA誘導体)やレチノールと効果が似ていますが、妊娠・授乳中の方でも安心して使用できます。
どこで購入できるの?
世界的な医薬品メーカーであるドイツのバイエル社が「Skinoren」という商品名で、20%のアゼライン酸クリームを出しています。東南アジアではタイで製造しているため、比較的簡単に手に入れることができます。カンボジアの当クリニックでも取り扱いをしております。
日本ではアゼライン酸クリームは市販されておらず、さらに保険薬としても承認されていません。しかし、自費診療を行っている病院やクリニックで、ロート製薬の「DRX AZAクリア」という商品(20%アゼライン酸配合クリーム)を取り扱っている場合もあります。
その他、ネットで海外製品を購入することも可能ですが、アゼライン酸が15~20%配合されていることを確認しておいた方がいいでしょう。
アゼライン酸クリームの使い方は?
ニキビや酒さの治療では、アゼライン酸の濃度は15~20%が望ましいとされています。ただ、それ以下の濃度でも効果が期待できますので、特にチリチリと皮膚刺激を感じる場合は、少量のアゼライン酸クリームを他のスキンケア製品と混合希釈してみることをオススメします。
① 最初は1日1回、少量から使い始めましょう。朝または夜の洗顔後に、まず化粧水で肌を整えます。
② 手のひらで、少量のアゼライン酸クリームと適量の保湿クリームを混ぜ合わせます。顔から頚部にかけて(目や口周りを避けて)優しく塗布し、ハンドプレスで馴染ませます。
※クリームの基剤が異なると混ざらずに分離することがあります。その場合は別々に塗ってください。
③ 日焼け止めを塗る場合は、軽く乾いてから重ね塗りをしましょう。
私自身、夜寝る前のスキンケアで、Skinorenクリームと保湿クリームを混合して塗布しています。塗布後30分くらいはチリチリとした刺激感がありますが、徐々に消失します。翌朝の肌は、しっとり保湿されて、まるで毛布に包まれていたかのような触感です。週4~5回の外用を3週間くらい続けた頃から、マットな肌質になり肌荒れ・色ムラも少なくなりました。
ただ、あまりベタベタと厚塗りした時はニキビが生じたこともありました。塗り過ぎには気を付けましょう。
いつものスキンケアに、ちょっとだけアゼライン酸クリームを足してみるにはいかがですか?今まで悩んでいた肌トラブルが改善するかもしれません。